脱「ひとり勝ち」文明論
2刷

脱「ひとり勝ち」文明論

清水 浩
  • 定価 1,500 円+税
  • 判型四六判
  • 頁数200 ページ
  • 発刊2009年06月05日
  • ISBN9784903908137
  • Cコード0033
  • 装丁寄藤文平
取扱書店 一冊!取引所

本の詳細

◆内容 20世紀文明――「豊かさ」は世界の一割の先進国の人たちのもの。 21世紀文明――世界中の人たちが、先進国と同レベルの豊かさを享受。かつ、地球環境をまったく痛めないもの。 この21世紀文明-「脱」ひとり勝ち文明― は、「すぐにでも実現可能!」と著者は言う。 それにより、「エネルギー問題」「環境問題」「経済対策」…現代の問題をいっきに解決することができるのだ、と。 著者は、30年間、電気自動車と太陽電池の研究に携わり、「未来のクルマ」Eliicaを開発。 その開発現場の生の声として、20世紀に開発された技術をつかえば、今すぐにでも21世紀型の文明を作ることができると断言する。 しかし、日本のいまの変革スピードでは、その主役を他国に持っていかれてしまいかねない状況にある。 つまり、次の文明でも、欧米や中国の「ひとり勝ち」を許してしまう可能性が高い。 日本型の「勝ち負けを作らない」、新しいタイプの文明(脱「ひとり勝ち」文明)を真剣にめざすべきではないか。 「希望」に満ちた未来をつくるために、今こそ日本発、日本型の文明を実現しよう! 「未来のクルマ」Eliica開発者が語る、新文明論。 ◆パブリシティ情報 「環境にしても、経済にしても、不安をあおる情報が数多ある中で、本書は根本的かつ革新的な問題解決を促す内容となっている。」 (「ソトコト」09年8月号) 「『誰もやろうとしないが、やれば必ず成果が出る方法』を探し当てる発想法にも瞠目。曇り空に薄日が差す思いがした。」 (「朝日新聞」09年7月26日付) 「社会起業的な視点で説かれた文明論」 (ブックファースト吉祥寺店 平井直子氏、「週刊ダイヤモンド」09年7月13日号) 「科学技術をちゃんと信頼してみようという、すがすがしい気持ちになった。」 (広岡守穂氏、共同通信配信書評、各地方紙随時掲載中) 「本書のメッセージは明るい未来を予感させる。本当に、未来は変わるかもしれない」 (井上英樹氏「ソトコト」09年8月号) 小飼弾氏「週刊ダイヤモンド」(09年7月11日) いままでのような経済成長はもはやない、という問いへの一つの答えが示されている」 (笈入建志「週刊現代」09年7月4日号) 「まさに出るべきときに、出すべき人が出した一冊だ。」 (小飼弾氏ブログ「404 Blog Not Found」6月5日掲載) ◆書店員の方々の声 素晴らしい、の一言に尽きる。この本はただの本ではない。 本という形をとった“未来”であり“希望”である。(ジュンク堂書店池袋本店 大内達也氏) 環境問題や貧困など、悪い部分の問題提起は数多いが、具体的な解決策は提示されない。清水氏は、「問題の向こうにあるもの」を、わかりやすく本書で示している。(リブロ別府店 祐保博美氏) 私は悲観論者で、未来に対しても諦めモードだったんですが、我々にさす一筋の光が見えた…それくらい根本のところで常識が覆された。(さわや書店本店 松本大介氏) こんなに穏やかな語り口でこんなに一気に目を開かされ、興奮させられた本は初めて。まさしく希望の書。(有隣堂AKIBA店 門脇順子氏) ◆目次 第1章 脱「ひとり勝ち」文明へ 第2章 未来は、電気自動車の中にある 第3章 「エリーカ」開発で見えてきたこと 第4章 日本発、日本型の文明を!

目次

1 脱「ひとり勝ち」文明へ  ・高校生の九割が、「未来は悪くなる」と予測している時代  ・温暖化問題は、まだ、本当には議論されていない?  ・「ひとり勝ち」文明は、一回目の革命に過ぎない  ・「科学の進歩」は「思想の自由」で生まれる!  ・トランジスタも太陽電池も量子力学から生まれた  ・「変化」「革命」は、想像よりも近くにあるもの  ・世界一のチャンスを「つかむ、逃す」の岐路に立っている  ・太陽電池の普及は、「貧困」をなくしてくれるもの  ・新しいワクの生まれやすい時代  ・いまは、二回目の産業革命を迎える時代である 2 未来は、電気自動車の中にある  ・ 「エネルギー問題」への回答を詰めこんだ電気自動車ができた  ・電気自動車は、二十世紀技術を効果的に使った「未来の縮図」  ・人間は、クルマを捨てられない生きもの  ・東京から名古屋まで、電気自動車なら三百円で走れる  ・「エリーカ」と他の電気自動車はどのようにちがうのか  ・太陽電池は、産業化のいちばんおもしろいところにある  ・太陽電池は、すぐに導入を始めるほど、いい効果を得ることができる 3 「エリーカ」開発で見えてきたこと  ・人生の「タマ拾い」はしたくなかった  ・プレゼンが人生の道を拓く  ・五億円の予算で世界最大のレーザーレーダー装置を作る  ・電気自動車は競争相手がいない……脱「ひとり勝ち」はここだ  ・五年でできると思っていたら、三十年かかった  ・リチウムイオン電池は、日本人が発明したものである  ・自分は考えることに専念して、パッと開発を進めるという方法論  ・クルマの定番は八輪車になる  ・開発現場から見えてきた、脱「ひとり勝ち」社会とは 4 日本発、日本型の文明を!  ・古い技術が新しい技術に変化するのは、わずか七年  ・新しい技術に入れかわれば、マーケットは倍増する  ・変化が起きにくいのは、バリューチェーンのワクがあるから  ・「世論」がイノベーションのジレンマを断ち切る  ・二十一世紀型文明の議論をするときがきた  ・脱「ひとり勝ち」文明になれば、温暖化問題も抜本的に解決する  ・経済的勝利よりも大切なもの  ・困難な時代を「軟着陸」で乗りこえるために

著者情報

著: 清水 浩(シミズ ヒロシ)

1947年宮城県生まれ。東北大学工学部博士課程修了。国立公害研究所、アメリカ・コロラド州立大学留学。国立公害研究所地域計画研究所室長。国立環境研究所地域環境研究グループ総合研究官などを経て、現在、慶應義塾大学環境情報学部教授。30年間、電気自動車の開発に従事。2004年、ポルシェ並みの加速力をもつ「未来のクルマ」Eliica(エリーカ)を誕生させる。 著書に、『電気自動車のすべて』(日刊工業新聞社)、『地球を救うエコ・ビジネス100のチャンス』(にっかん書房)、『温暖化防止のために―科学者からのアル・ゴア氏への提言』(ランダムハウス講談社)、共著に『爆笑問題のニッポンの教養 教授が造ったスーパーカー』(講談社)などがある。 現在、最も注目される科学技術者のひとり。